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さあて、早速、第一号だ!いきなり難産だったな。そして、さんざんな作品だ。ほんとうに。ひでえな、これ。やっていけるのか、百個もよう!…やるっきゃねええ!!

最初は現代を舞台にしようかと思いましたが、やめました。
DBのTVSP未来編を見て、『瓦礫の大地に生きる僕ら』的なシチュエーションにはまってますねん。

001・僕らは曖昧な常識の上に立つ

始まりがあれば、いつか終わりもある。
表裏一体。

まるで、それを表すかのように、始まりの朝がくる時も、終わりの夕方が来るときも、空は同じように微かな虹色になる。



僕はそれを今、知った。





 僕らが生きるのは、瓦礫の大地。僕らが生きるのは、戦争の日々。僕らが生きるのは、生き残るため。

「昔はさ、ここも綺麗な町だったんだぜ」
 “過去は振り返らない”君が、そう言うのは初めてだった。いつもどんなに訊いても、答えてくれないくせに。
「昔って、何だか長生きした人みたい。六歳しか違わないのに」
「それでも、大きな差だろ」
 君が生まれた六年後、僕が生まれた年、世界が大きく変わった。いや、君がそういうだけで、本当はずっと前から、世界は少しずつ変わっていっていたのかもしれない。
 僕たちは、地平線へと夕日が落ちるのも見届けられるほどまっすぐな大地に、腰を下ろしていた。僕達以外の人は、誰もいない。しんと不気味なほど、静まり返る、大地。みんな、地下に隠れているか、僕たちの腰を下ろす、この瓦礫の下で、冷たくなっているのだろう。
「ねえ、昔って、どんな風にきれいだったの?」
まだ温かいのだけれど、隠れる場所もない僕たちは、堂々と大地の上で座っている。昔話をしている。自由なんだけれど、それはとても危うい自由。
 隣で君は苦笑する。どんな風に綺麗、それを自身の言葉ではうまく言い表せないようだ。そうだよね。だって、世界が変わった瞬間、君はまだ六歳。そしてあれから、何年の月日がながれたというのだろう。僕はもう、君と同じ年だったころの記憶に、霞がかかっている。綺麗、という言葉は君の“イメージ”を最大限に形容したものなんだろうね。
 一生懸命思い出すようにして考えて、君はこう言った。 
「想像できないか?お前が暮らしたいって思う環境がまさにそう」
今度は僕が戸惑った。
「僕は君とは違うよ」
 望む、その程度が僕と君とでは大分違う。幸せを感じるって言う、度合いが違うんだ。――少しの間でも“瓦礫の大地”じゃない時代を生きていた、君とは。皮肉、じゃないんだよ。
 僕は今のこの状況でも、幸せだとか思える。へらへらって笑えちゃうんだ。だけど大きな幸せを知っちゃっている君は、この状況が全て、絶望でしかない。笑わない。そういえば、大きな声で笑うところ、見たことがないや。大切な人たちが消えていく瞬間を、はっきりと記憶に残っちゃって、それが消えないでいるんだね。僕はちっちゃかったから、覚えてない。物心って言うのがついていたときには、既に、君と二人きり。
 だから、暮らしたいっていう環境、わからないんだ。今でも、生きていけるって思えるから。
「そうだな。お前と俺じゃ、感性がちっと違うわな」
「なーんか、バカにされてる気分」
「別に、そういうつもりはないけどさ」
 僕と君との間で、時々こうして何かが食い違うんだ。
 その壁を、もどかしいとか思ったことがないと言えば、嘘になるのだけれど。でもそれって、仕方がないことじゃないか。ちゃんと共通したものも持っているのだし。――それが、僕と君を結ぶ、見えない絆である。
 そんな僕と君の間に、捩れた会話が流れる。
「分からないなら、分からない方がいいよ」
過去を振り返りたがらない、君が言うとどめの一言。分かってしまった瞬間、僕が今のこの状況がいかに絶望かを思い知らされるからだって。僕はそれを言われると、何も言えなくなる。何だかんだ言って、絶望するのが怖いんだろうね。逃れるように空を仰いだ。真っ赤な、空。血ってこんな色、してたかな。ぼうっとした思考だと、うまく思い出せない。


 今度、血の色を思い出したときには、色々ともう、遅かったんだ。



 あれからたった一日が経って。たったとは言うけれど、僕には長い、一日。その時間が流れて。僕はまた、同じ場所に立っていた。
 瓦礫はいくら破壊されたって、瓦礫は瓦礫。少し形を崩しても、移動しても、僕の目の前に広がるのは地平線を捉えるのに全く障害のない、ただっ広い大地。
 僕は、ここで呆然と立っていた。この日々は、とても忙しい。油断していると終わってしまう。油断して無くても、ふとした瞬間に終わらされてしまう。昨日と今日では全く、違う世界になってしまう。僕はそれに疲れたように、ただ呆然と立っていた。
 三時間くらい、前だろうか。僕の世界が変わったのは。昨日まで温かかった気持ちはまるでない。風が冷たい。特に、右頬。手で、少し拭ってみた。さっきまで鮮やかな赤だったのに、もう汚れた茶褐色になっていた。
 ようやく、絶望の日々というのが分かった気がした。ようやく、記憶の中に人が終わっていくのを刻みつけられた。忘れられる、はずがないよね。こんなに強烈なものを。
 人が始まったと同時に、終わりへのカウントダウンは確実に始まっていることは、きっと誰だって知っていること。常識。僕達の見えない絆の中にもそれは確かにあったはず。
 だけど、呑み込みたくない、その事実。こんな常識、誰が作ってしまったのだろう。確かにあるはずなのに、誰もが認めたくない、常識。なんて、曖昧。だけど、その上でしっかりと立っている僕が、今は一番曖昧なんだろう。

 空を仰いだ。
 くもって見えた。
 目をこすってみた。
 汚れた手だと、目がしみた。
 暫く目を閉じてみる。そして開けてみた。
 空はもう、日が暮れる寸前。一日が、終わっちゃいそう。
 昨日見た空は、日が暮れそうな時間だったっけ。とても赤かった。
 でも、今は。
 
 淡い、淡い、虹色。とても、儚いものだった。

 僕は立っていた。
 何もすることがなくて。
 泣きもせず、眠りもせずに立っていた。
 ゆっくりと時間は経ち、今度は夜が明けていく。
 空は日が昇りそうな瞬間。一日が、始まっちゃいそう。
 
 やっぱり、淡い、虹色。とても儚い色。

 僕はようやく、涙が、でた。

 僕は今、それを知った。



えんど。

次こそは…次こそはがむばります。もっと、こう…空白感にあふれた作品をかきたいお。(なにいっちゃってんのこいつ)
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