四作目

これで終わりです。
そういえば、このラジドラ、登場人物に女が多いのは、当時の放送部に女性ばっかりがいたからです。それだけ。おっさん役がいなかったんですよね。

さて、この話は、何で書いたんだろう。よう覚えとりませんorzでも、一年後、このシチュエーションと同じようなもので、小説を書こうとしてました。それは、双子の女の子のはなしだったんですけどね。
時間があれば、書きたい。

ありさ→主人公、しっかり者。るり→ありさの妹、怒りっぽい？友１→ありさとは長い付き合いっぽい。友２→元気娘のような感じ。謎の少年→悪戯のガキ。中学生くらい。

る〕お姉ちゃん、今日は待ち合わせ場所に直接行ってよ。
あ〕はいはい……で、父さんは？
る〕行かないって(悲しそうに)
あ〕…そう、仕方ないわね――それじゃ、行ってくる。
る〕うん、行ってらっしゃい。
【ドアの閉まる音】
―間―
あ〕タイトルコール
―間―
【せみの声】＋【走ってくる音×二人】
１〕 あーりさっ！飲みに行くぞ★
あ〕(ため息)…それ、部活帰りの女子高生が言う言葉じゃないわ。
２〕 何をいってんの！女子高生たるもの、部活とはいえ夏休み楽しむべきですよ！
あ〕いや、そんなことを突っ込んでるわけでもないし。
１〕(笑)冗談よ、冗談。
あ〕最初から本気にもしてないけど…それで、何？
２〕いや、これからミスドかマック行こうかって話よ。部活帰りは、お腹は減るし、のどは渇くし。ね、いこ？
あ〕あ、今日はパス。
１〕 あら、あんたにしては珍しい。いつも食いついてくるのに。
２〕 どっか体でも悪いの？
あ〕いや、そうじゃなくて……用事。
２〕用事？
あ〕うん…あ、もうこんな時間。先、帰るね(慌てた様子)
１〕え…あ、うん(戸惑い気味)
あ〕じゃね！【走り去っていく音】
２〕また明日…
２〕―少し間―何なの？
１〕さぁ？……あ。
２〕何？
１〕今日、命日だ。
２〕命日？
１〕そう、命日。
―間―
【さっきより小さいせみの声】＋【走ってくる音】
る〕遅ーい、お姉ちゃん！十分遅刻だよ、十分！
あ〕ごめん、るり。部活、長引いちゃって…
る〕全く…早く行こう！暑くって、汗だくだよ。
あ〕(苦笑)あとでジュースおごるから…じゃ、いこっか。
―間―
【人込みの音】
２〕それで、さっき言ってた命日って？
１〕うん…ありさの弟、さとるのね。
２〕弟？ありさ、弟いたの？
１〕まあ、死んじゃったけど。ありさが小学六年生のときね。結構ニュースになったのよ。川で溺れた友人を助けて、まだ小学生に入ってもない男の子が溺死したって。悪がきだったのに…そういう所だけ、律儀って言うか。
２〕そうだったんだ…
１〕…いつもはああしてるけど、ほら、あの子ん家、母親いないでしょ？だから長女のありさが弟や妹の母親代わりで…あの時は、見ていていたたまれなかったな…今も時々、ね。
２〕へえ…
―間―
る〕…お墓、綺麗になってるね。
あ〕なんだ、父さん来てたんだ。まぁ、いいわ。るり、一応お水汲んできて。お花も生けなきゃいけないし。
る〕はいはい。
【走り去る音】
あ〕ふぅ…
謎〕それ――
あ〕きゃあ！？
謎〕何もそんなに驚かなくても。
あ〕…っ、誰？急に声かけられたら、びっくりもするわよ。
謎〕あぁ、場所が場所だしな。俺、ここの寺に住んでる奴。
あ〕そ、そうなの。それで、何か用？
謎〕いや…それ、誰の墓かなって。母親？
あ〕…母親なんていないわ。離婚してるし。
謎〕じゃあ、父親？
あ〕残念ながら死んでいません。
謎〕…じゃあ――
あ〕(半ばあきれ気味)弟のよ。五年前に死んだ。生きてたら、君と一緒ぐらいの年。
謎〕ふぅん(どうでもよさげ)
あ〕聞いといて、興味なし？
謎〕いいや。もともとこんな性格。
あ〕そうなの…弟もそうだったわ。
謎〕へぇ、そーとー性格、悪いんだろうな。何で死んだの？
あ〕さぁねぇ…何だったかしら。
謎〕忘れたんだ。
あ〕ううん、忘れたいの。
謎〕あ、そういうこと。
あ〕…うん、出来ることなら、忘れたい。本当は、出来ないんだろうけど。
謎〕そうだろうね。
あ〕責任転嫁って奴。自分が何も出来なかったから。
謎〕そうなの？
あ〕何か出来てたら、弟は死ななかった。
謎〕そんなもんかな…
あ〕そんなものよ。
謎〕―少し間―…俺は、違うと思うけど。
あ〕あら、どうして？
謎〕弟はそう思ってるんじゃないかなって、思っただけ。あんたは悔やむようなことは何一つしてなさそうな気がする。それにあんたがいようといまいと、死ぬ運命って、結構変わらないもんだし。
あ〕あら、まるで死神みたいなこと言うのね。
謎〕いや、違うけど。
あ〕(微笑)…そうね。ま、そういうことにしときましょ。あんまり弟の前でナーバスな姿を見せるのもなんだし。――そういえば、
謎〕ん？
あ〕寺の子なんでしょ？幽霊とか、見えるの？
謎〕さあ、どうでしょ。
あ〕教えてくれたっていいじゃない。ケチ。
謎〕聞いてどうすんの？
あ〕弟は…まだ近くにいるかな…って。
謎〕ちゃんと成仏してるみたいだけど。
あ〕あっ、やっぱり見えるんだ。
謎〕いいや。そんな感じがしただけ。
あ〕…もう！本当に性格が悪いのね。弟に似てるわ！
謎〕…だって、本人だもん。(きっぱり)
あ〕―少し間―…は？
謎〕あ、もう時間ないや。んじゃ、ばいばい。
あ〕え！？ちょ…っ！
【風の音？】
あ〕…消えた…何なの？今のは…夢？
【走ってくる音】
る〕(遠くのほう)おねーちゃーん！水、汲んできたよ。
あ〕……さとる。(つぶやくように)
る〕(足音、止めて。)お姉ちゃん？どうしたの？
あ〕うん…今ちょっと、夢見てたみたい…(ぼんやりした様子)
る〕ん？
―間―
【人込みの音】
謎〕ったく…人がせっかく励ましてやったのに。馬鹿姉貴。
―間―
１〕ん？
２〕どうしたの？
１〕いや、今すれ違った人、知ってたような…
２〕誰？
１〕わかんない。
２〕なにそれー(笑)
１〕(笑)気のせいかな…いこっか。
２〕おう！
【人込みの音、大きくなってその後はフェードアウト！】

《完》